私の船乗り時代、「領海」はその国々によって距離が違っていましたが近年全ての国が「12海里」に統一されました。1海里(1マイル)は1,852メートルですので約22キロがその国の領海と言うことになります。領海の基になるのが「基線」と言って領土(陸地)と海岸線(最低低潮面)の接するところを指します。この「基線」から200海里までを「経済水域」と言って大陸棚や石油資源の保護を目的として作られた水産界にはとてもやっかいな水域があります。私が船を降りる原因になったのもこの「経済水域」のお陰?です。
大陸棚を有する国々が自国の水産資源や石油資源を守るため国連海洋法会議で半ば強引に法制化されたもので所謂「200海里法」と言われるものです。海洋国日本にとってこれは致命的な国際法となり(法外な入漁料や製品に対する関税を課せられ採算割れを起こす)これを機に大手水産会社は遠洋漁業から撤退を余儀なくされた訳です。この経済水域より外側の海を「公海」と言い航行、上空飛行などが自由に行える水域となっています。経済水域は資源利用やその他経済活動の面では「領海」と同じですが単なる航海や飛行に当たっては「公海」と同じ性格を持ちます。領空(領土と領海で囲まれた区域)や領海に対する認識はその国々で違いますが先進国の中では我が日本は桁外れに他の国々より意識が低いと思います。領空侵犯、領海侵犯した航空機や船舶が撃墜されたり拿捕されたり砲撃されたというような話は「世界の常識」なのですが平和な?日本では北朝鮮やロシアの航空機、船舶が侵犯しても「出て行け~」と追い出すだけ、、、島国根性の日本人のはずなのに何処かが狂っているとしか思えません。もっとも私が三等航海士時代、アフリカ西岸では常識的?に領海侵犯を繰り返し他社を大きく引き離す漁獲量を上げていたことを思えばあまり偉そうなことは言えませんが。機関銃で撃たれても性懲りもなく領海侵犯をして生産を上げようとした心意気こそ「大和魂」だ~~と勘違いしていた船長さんも居たけど、今思えば暢気な時代だったんです、あの頃は!
詳しい話は「キャプテン池辺の回顧録」の三等航海士編を読んでみてください。「領海」とはどんなものか少し実感できると思います。何事も中に踏み込まなければ分からないというのが人間の心理、社内旅行の国外組に数人領海侵犯を実行した強者がいましたが、彼らに聞けば「領海侵犯」をしたくなる心理が理解できるかもしれませんよ。
2004/06/16
2004/05/14
大陸棚
大陸あるいは島の周縁部に広がる傾斜の緩やかな海底を大陸棚と言います。北米大陸西岸の大陸棚の様にベーリング海に向け数百キロに及ぶ所も有ればアフリカ大陸東岸の様に数キロで深海へと落ち込む海域もありその規模は様々です。大陸棚内部にはバンクと呼ばれる更に水深の浅い部分があり、これに海流がぶつかり湧昇流(ゆうしょうりゅう)が発生し海底から栄養価に富んだ堆積物が供給されプランクトンが多量に発生します。従って魚類の生息しやすい環境が形成されることから大陸棚が好漁場と成るわけです。日本近海では大和堆(やまとたい)、武蔵堆(むさしたい)が有名ですが世界的に好漁場を持つ大陸棚としては北海、北米南東岸、ペルー、アラスカ湾、ニューイングランド等があげられます。ニュージーランド東岸のように一旦大陸棚が深海へと落ち込んだのち再び水深1,000メートル位の所にバンク(水深200メートル位)が出現する様な海域もあります。
私の様な船乗りは海原の真っ直中(漁場)にいても陸の地図と同じように今自分の船が何処にいるか魚群探知機に映し出される等深線の形状を見ただけで分かるほど海底の起伏は複雑なものです。地球の三分の二は海なのですからもっともっと海洋開発がなされても良いのになあと水平線をぼんやり眺めながら嘗てのキャプテンは深海の模様を想像しながらパイプを燻らせていました。海洋版「未知との遭遇」というかまあこんな調子で一年を過ごすのですから外野から「変人」「奇人」と呼ばれても仕方ないのかもしれませんね。
ところで最近問題になっている「尖閣列島」の領有権もこの大陸棚と深い関係が有るのですよ。大陸内部にある国々の国境は普通川や湖、山の稜線などで「領土」を決めていますが日本のような海洋国や海に面した国々では「領土」すなわち陸地と沿岸の一部すなわち「領海」をもって「領土」としています。潮の満ち引きがある海岸線では領海の元になる陸地と海との境界線を決める必要があります。(潮の干満の大きいところでは数メートルの差が有るほどですから)
次回は「領空」「領海」「領土」についてのお話をすることにして取りあえず今月は日本国を脱出し直に「領空」「領海」「領土」を肌で感じてきましょう!余り深入りせずに!
私の様な船乗りは海原の真っ直中(漁場)にいても陸の地図と同じように今自分の船が何処にいるか魚群探知機に映し出される等深線の形状を見ただけで分かるほど海底の起伏は複雑なものです。地球の三分の二は海なのですからもっともっと海洋開発がなされても良いのになあと水平線をぼんやり眺めながら嘗てのキャプテンは深海の模様を想像しながらパイプを燻らせていました。海洋版「未知との遭遇」というかまあこんな調子で一年を過ごすのですから外野から「変人」「奇人」と呼ばれても仕方ないのかもしれませんね。
ところで最近問題になっている「尖閣列島」の領有権もこの大陸棚と深い関係が有るのですよ。大陸内部にある国々の国境は普通川や湖、山の稜線などで「領土」を決めていますが日本のような海洋国や海に面した国々では「領土」すなわち陸地と沿岸の一部すなわち「領海」をもって「領土」としています。潮の満ち引きがある海岸線では領海の元になる陸地と海との境界線を決める必要があります。(潮の干満の大きいところでは数メートルの差が有るほどですから)
次回は「領空」「領海」「領土」についてのお話をすることにして取りあえず今月は日本国を脱出し直に「領空」「領海」「領土」を肌で感じてきましょう!余り深入りせずに!
written by
captain-ikebe
2004/04/13
鯨
別府湾に鯨が迷い込んでマスコミを賑わしていますので今回は鯨のお話です。
ほ乳類の中で誕生から死までの生涯を海中で過ごすのは鯨だけです。種類は大きく分けて二種類、シロナガスクジラやセミクジラに代表される髭鯨とマッコウクジラやゴンドウ鯨等の歯鯨です。シロナガスクジラは体長30メートル、体重200キロに達する程でっかい奴もいますが現在ではほとんど絶滅に近い状態です。余談ですが私が幼少の頃は南氷洋捕鯨が未だ盛んな頃で当時のプロ野球球団「大洋ホエールズ」は新人の補強の為規定の捕獲数を誤魔化して一頭余計にシロナガスを捕獲してそれを契約金にしていたと言う秘話があるほど商品価値?のあるものでした。
髭鯨は大きな口の中に簾(すだれ)のような髭が何百本あり、一日中大きな口をパカッ~と開けて泳ぎオキアミを何百トンも吸い込むようにして食べます。歯鯨はその強固な歯で海豚(イルカ)や海馬(トド)等をパクパクムシャムシャと食べます。捕鯨船の友人にもらった鯨の歯で作ったタイピンやカフスボタンは縁起物として大切に使っていますがこれも船乗りならではの恩恵かもしれません。鯨は言葉を話すことでも有名ですが脳の大きさは象についで2番目、体重比もヒトについで2番目に大きいことからもイルカ同様利口さが頷けます。潜水能力も血液量が多いため酸素を充分体内に蓄積できることから悠に1時間は潜水出来ます。捕鯨船のキャッチャーボートが鯨を追いかけ捕鯨砲を撃ち込むときは最初に鯨が潜水をしたときの方向から次に鯨が苦しくなって浮上する位置を感でつかみ船首の前方に鯨が浮上した瞬間、ドカーンと銛を打ち込みます。銛は鯨の体内で小爆発をするようになっているため撃たれた鯨は数分で絶命します。その鯨が沈まないように空気を注入しブイをつけて次の獲物へと船を走らせる、、、グリーンピースが聞いたら怒り狂う様なことをしてきたことが日本捕鯨の実体ですが太古の昔より鯨を食料としてきた海洋国にしか分からない現実かもしれません。
高崎山に「うみたまご」が完成するのも近々ですがイルカのショーも企画されてイルカ?分かりませんが鯨もイルカも全く同じ鯨科なのですよ。体長4~5メートル以下の鯨をイルカと呼んでいるだけです。水族館を訪れるとき子供さんに又はガールフレンドに威張って説明してあげて下さい。
ほ乳類の中で誕生から死までの生涯を海中で過ごすのは鯨だけです。種類は大きく分けて二種類、シロナガスクジラやセミクジラに代表される髭鯨とマッコウクジラやゴンドウ鯨等の歯鯨です。シロナガスクジラは体長30メートル、体重200キロに達する程でっかい奴もいますが現在ではほとんど絶滅に近い状態です。余談ですが私が幼少の頃は南氷洋捕鯨が未だ盛んな頃で当時のプロ野球球団「大洋ホエールズ」は新人の補強の為規定の捕獲数を誤魔化して一頭余計にシロナガスを捕獲してそれを契約金にしていたと言う秘話があるほど商品価値?のあるものでした。
髭鯨は大きな口の中に簾(すだれ)のような髭が何百本あり、一日中大きな口をパカッ~と開けて泳ぎオキアミを何百トンも吸い込むようにして食べます。歯鯨はその強固な歯で海豚(イルカ)や海馬(トド)等をパクパクムシャムシャと食べます。捕鯨船の友人にもらった鯨の歯で作ったタイピンやカフスボタンは縁起物として大切に使っていますがこれも船乗りならではの恩恵かもしれません。鯨は言葉を話すことでも有名ですが脳の大きさは象についで2番目、体重比もヒトについで2番目に大きいことからもイルカ同様利口さが頷けます。潜水能力も血液量が多いため酸素を充分体内に蓄積できることから悠に1時間は潜水出来ます。捕鯨船のキャッチャーボートが鯨を追いかけ捕鯨砲を撃ち込むときは最初に鯨が潜水をしたときの方向から次に鯨が苦しくなって浮上する位置を感でつかみ船首の前方に鯨が浮上した瞬間、ドカーンと銛を打ち込みます。銛は鯨の体内で小爆発をするようになっているため撃たれた鯨は数分で絶命します。その鯨が沈まないように空気を注入しブイをつけて次の獲物へと船を走らせる、、、グリーンピースが聞いたら怒り狂う様なことをしてきたことが日本捕鯨の実体ですが太古の昔より鯨を食料としてきた海洋国にしか分からない現実かもしれません。
高崎山に「うみたまご」が完成するのも近々ですがイルカのショーも企画されてイルカ?分かりませんが鯨もイルカも全く同じ鯨科なのですよ。体長4~5メートル以下の鯨をイルカと呼んでいるだけです。水族館を訪れるとき子供さんに又はガールフレンドに威張って説明してあげて下さい。
written by
captain-ikebe