氷が張りつめた水面に航路を開くように設計された船を砕氷船と言います。もともと五大湖やバルト海のような冬季、氷で埋まる地域の水路確保のために使用されていたものが北極や南極大陸の探検で活躍するようになり広く認識されるようになったものです。
日本では1965年に海上保安庁所属の「ふじ」が、1982年には防衛庁所属の「しらせ」が建造され南極観測に貢献してきました。東神奈川のNKK浅野ドックに定期検査のためドック入りしたとき「しらせ」と隣り合わせになり見学をさせてもらいました。
私の乗船していた工船トロール(すり身母船)もふつうの船舶に比べ船首は耐氷構造のため頑丈にできていましたが砕氷船のそれは比較にならないほど頑丈でした。ふつう外板は12ミリ前後の鉄板で出来ていますが「しらせ」の船首部は厚さが1メートルもあり正に鉄の塊でした。私のホームグランドのベーリング海の流氷の暑さは、はせいぜい20~30センチでしたが、それでも全速でぶつかると船首部に凹みが出来る程衝撃は大きいものでした。砕氷船は1~2メートルの氷原を平気?で進んでいくのですから並大抵の構造では耐えられません。氷の破片がスクリュウや舵に巻き込まないような工夫も至る所にされています。薄い氷は船の推進力だけでバリバリと割って進みますが、厚い氷原に出くわすと、激突と乗り上げを繰り返しながら進む「スラミング砕氷」という方法でノロノロと進みます。船首と船尾にバラストタンクがあり水の注排水・移動を行うことで船首を持ち上げたり降ろしたりギッコンバッタンしながら一日何メートルかの前進をするのです。船乗りは気の長い人しか務まらないのがおわかり頂けるでしょう? 船のブリッジから四方を見渡し365度すべてが氷に包まれている流氷をパックアイスと呼びます。砕氷船はこれを自分の船体重量で上から押し割って進みますが、潜水艦がこういう海面に浮上するときは砕氷船とは逆に下から上に全速で突き上げて氷原に浮かび上がります。ハワイ沖で訓練中のアメリカの潜水艦が日本の水産高校の練習船に体当たりしたのはこの種の訓練中でした。余談ですが先般、中国の潜水艦が領海侵犯したさいTVのコメンテーターが潜水艦では正確な位置がでないから間違って、、、、等と馬鹿なコメントをしていましたが自船の位置も海上の様子も空さえも正確な情報は得られのです。練習船「宇和島丸」には私の後輩が指導教官として乗船していましたがさぞ無念だったことと思います。
2005/01/06
2004/11/04
オキアミ
年末恒例「生ずわい蟹」の世話をしてもらっている日本水産の後輩から先日嬉しい話を聞きました。小生がキャプテンとして座乗していた「竹生丸」がアルゼンチンに買い取られ南氷洋のオキアミ操業に従事しているとのこと。臼杵鉄鋼佐伯造船所で建造されかれこれ40年近くになると言うのに未だ現役で活躍している事を聞き、嬉しくなって今回は「オキアミ」について話をすることにしました。
学名をユーファウシアスペルバと言う南極オキアミは南極大陸周辺に広く分布するプランクトンの一種です。「カッパえびせん」等のスナック菓子、養殖の餌、医薬品の原料等々幅広く利用されている事は皆さん良く知っていることと思います。南氷洋捕鯨の規制が厳しくなる中無尽蔵とされていた南極オキアミを大手水産会社が一事業として取り組み始めたのは小生が水産学生として練習船に乗船していた頃です。地球上の大陸棚のあるところ日本のトロール船有りと言われるほど世界中に展開していた日本のトロール船隊も、年々厳しくなる規制に締め付けられ、行き場をなくし我が宝幸水産も北方トロールの主力船「竹生丸」を南氷洋に投入したのは小生が一等航海士の時でした。南氷洋のオキアミ群は無尽蔵とまではいかなくても、海面が何十マイルにもわたって色が変色するほど広範囲に生息しているため、この群(パッチと呼ぶ)が曳網によってばらけないよう群の端の方から丁寧に20トン程度ずつ捕獲していきます。大きい群になると3~4日かかっても取り尽くせない程です。始末が悪いのは魚躰が非常に柔らかく20トン以上捕獲すると魚躰が潰れてしまい製品に出来なくなるのです。それと鮮度低下が早くパン立て作業(10キロパンに詰めて急速冷凍する)は2時間が限度で、それ以上時間が経過すると魚躰が黄色く変色し製品価値がなくなります。釣り好きの皆さんが釣り餌に使うオキアミもこうした苦労の末作られたものなのです。我が家のアロワナ君にもこのオキアミを与えていますが餌をやるときは「心して食えよ」と言いながら与えています。オキアミの目玉が癌の治療薬に有効という噂が流れ本社の指示により目玉だけをピンセットでかき集めサンプル製品を作ったりもしましたがアレどうなったのでしょうねえ?我が社の新規事業「光触媒」と「オキアミ」何か結びつける事は出来ないかなあ~~と考える今日この頃です。
学名をユーファウシアスペルバと言う南極オキアミは南極大陸周辺に広く分布するプランクトンの一種です。「カッパえびせん」等のスナック菓子、養殖の餌、医薬品の原料等々幅広く利用されている事は皆さん良く知っていることと思います。南氷洋捕鯨の規制が厳しくなる中無尽蔵とされていた南極オキアミを大手水産会社が一事業として取り組み始めたのは小生が水産学生として練習船に乗船していた頃です。地球上の大陸棚のあるところ日本のトロール船有りと言われるほど世界中に展開していた日本のトロール船隊も、年々厳しくなる規制に締め付けられ、行き場をなくし我が宝幸水産も北方トロールの主力船「竹生丸」を南氷洋に投入したのは小生が一等航海士の時でした。南氷洋のオキアミ群は無尽蔵とまではいかなくても、海面が何十マイルにもわたって色が変色するほど広範囲に生息しているため、この群(パッチと呼ぶ)が曳網によってばらけないよう群の端の方から丁寧に20トン程度ずつ捕獲していきます。大きい群になると3~4日かかっても取り尽くせない程です。始末が悪いのは魚躰が非常に柔らかく20トン以上捕獲すると魚躰が潰れてしまい製品に出来なくなるのです。それと鮮度低下が早くパン立て作業(10キロパンに詰めて急速冷凍する)は2時間が限度で、それ以上時間が経過すると魚躰が黄色く変色し製品価値がなくなります。釣り好きの皆さんが釣り餌に使うオキアミもこうした苦労の末作られたものなのです。我が家のアロワナ君にもこのオキアミを与えていますが餌をやるときは「心して食えよ」と言いながら与えています。オキアミの目玉が癌の治療薬に有効という噂が流れ本社の指示により目玉だけをピンセットでかき集めサンプル製品を作ったりもしましたがアレどうなったのでしょうねえ?我が社の新規事業「光触媒」と「オキアミ」何か結びつける事は出来ないかなあ~~と考える今日この頃です。
written by
captain-ikebe
2004/11/02
航海計器
「海は広いな~大きいな~♪♪」なんて歌ってられないほど「海」は広くて大きいのです。何せ地球の70%は海なのですからね。そんな大海原の真っ直中で自分の船の位置をどうやって知るのか?今回は航海計器についての話です。大航海時代の船乗りや探検家が未知の大陸を求めて初めての大洋を航海し未踏の地に辿り着くのは「運」あるのみなのですが、幸運にも大陸を発見しても出発した自国の港に戻る事が出来なくては偉業は世間に認められません。コロンブスもマゼランもちゃんと自国に戻ってこれたからこそ歴史に名を残せたのです。すなわち我が日本国の戦国時代、「我こそわ~~」と戦に明け暮れていた頃、西洋では陸地の見えないところでも自分の位置を知る術をもっていたのです。いくつかの天体の高度を計測し「位置の線」を海図上に引くことによって自船の位置を求める「天測」の技術を習得していたのです。紀元前にあのピラミッドを造った文明ですから当たり前と言えば当たり前ですが。小生が学生時代乗船した練習船では毎夕、毎朝「天測」実習が日課となっていました。何故夕方と朝方かというと星の高度を計測するには水平線が肉眼で見える時刻でないと高度を計測できないからです。アルデバラン・センタウリー・リゲル等々一等星の星を必死に探し、3~4個の星の計測が終わるとブリッジに戻り計算より割り出された方位線をチャートに引くと3~4本の線が交わるトライアングルが出来その中心が「推測船位」となるわけです。第二次大戦中、日本帝国海軍がこの「天測」で位置を出していたのに対し連合国の艦船は「デッカ」「ロラン」と言った陸上基地からの電波の到達時間差による位置測定方法を既に運用していました。負けるはずです、、、ね!。
小生が三等航海士のころは「ロラン」航法が主力でしたが吹雪になると電波が乱れたり、陸上のロラン局でカバー出来ない海域では全く使い物にならず、精度も誤差界50メートルと言われるほどでした。人工衛星による航法システム(インマルサット)が民間船舶で運用されるようになったのは小生の一等航海士時代でした。南氷洋のような海域では衛星の軌道から離れているため数時間に一度しか電波を受信できませんがベーリング海等船舶の多い海域では常に衛星からの電波をキャッチできるため精度は誤差界5メートルと言われていました。アポロ13号が月面着陸を断念して奇跡的に地球に帰還した時、大気圏への突入角度が少しでも狂うと燃え尽きてしまう危機にさらされた事に比べれば海の上の50メートル差なんて無いに等しいのです。海図上の50メートルなんて鉛筆の芯程しかないのですから。っま、おおざっぱな人間になるわけです。我が社にも「おおざっぱ」がたくさんいるけど彼らも昔は船乗りだったのかな???
小生が三等航海士のころは「ロラン」航法が主力でしたが吹雪になると電波が乱れたり、陸上のロラン局でカバー出来ない海域では全く使い物にならず、精度も誤差界50メートルと言われるほどでした。人工衛星による航法システム(インマルサット)が民間船舶で運用されるようになったのは小生の一等航海士時代でした。南氷洋のような海域では衛星の軌道から離れているため数時間に一度しか電波を受信できませんがベーリング海等船舶の多い海域では常に衛星からの電波をキャッチできるため精度は誤差界5メートルと言われていました。アポロ13号が月面着陸を断念して奇跡的に地球に帰還した時、大気圏への突入角度が少しでも狂うと燃え尽きてしまう危機にさらされた事に比べれば海の上の50メートル差なんて無いに等しいのです。海図上の50メートルなんて鉛筆の芯程しかないのですから。っま、おおざっぱな人間になるわけです。我が社にも「おおざっぱ」がたくさんいるけど彼らも昔は船乗りだったのかな???
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captain-ikebe