タコは世界中の熱帯から寒帯まで全海域に生息する軟体動物です。西洋では昔、タコは伝説上の「海の怪物」と言われ小説や映画に「悪魔の魚」として登場しています。食用として馴染みのあるタコは「マダコ」「ミズダコ」「イイダコ」などがあげられますが「ミズダコ」は全長3~4メートル、体重30~40キロと言う化け物のような容姿故このような呼び方、扱われ方をされてきたのでしょう。タコは日中物陰に隠れ日暮れとともにノソノソと獲物を探しに出てきます。好物はカニや貝類であのクネクネ曲がる足で獲物を捕捉し顎板(口に当たる)で噛みつき毒を注入し弱ってからゆっくりムシャムシャと食べます。逆にタコの天敵はウツボで、攻撃されそうになると(食べられそうになると)水を一気に吸い込み漏斗からジェット推進のように一気に水を噴射して逃げます。このとき「墨」を噴射することは皆さんよくご存じですがこの墨にはハンターの感覚器官を麻痺させる物質が含まれているといわれています。タコは餌が無くなると自分の足を食べて生き延びることから、利益の無い企業が財産処分をしながら利益配当を続けることを「たこ配当」と言うのも言い得て妙なりですね。私が三等航海士時代、西アフリカのモーリタニア沖でタコをターゲットにした操業をしましたがタコの習性はほんとにおもしろく一度海の底に潜って彼らと対面したい気分でした。日中は砂の中に潜っているため夜間のほうが漁獲量は格段に上がるのですが事業船故そんなことは言っておられず、昼夜の別なく操業をします。そこで編み出された漁法?が「タコチェーン」「タコ起こし」と言われる器具です。トロールネットの先端にこれを取り付け海底を掘り起こすような形で曳網すると砂の中に潜んでいるタコ連中がびっくりして跳ね上がりこれが網の中に吸い込まれるというまあ長閑なことをしていました。余談ですがこのときまでキャプテン池辺はタコの肌は「赤い」と信じて疑いませんでしたので「アフリカのタコは人間の肌色をしてるんですね」の質問に乗り組み員、顔を見合わせ「、、、、、、」した。食卓に並ぶ茹でたタコしか見たことがなかったのですから。タコの習性で実感できたのはゾロゾロ列を作って歩く?ことでした。それと海水の汚れたところを好む習性も加わり、同じライン上を何度曳網しても漁獲が落ちなかったのが不思議でした。
目に見えないものを想像し、推測することは楽しいものです。なにせ正解を誰も知らないのですから気が楽です!
2005/03/02
2005/02/04
日付変更線
皆さん新年おめでとう御座います。今年は生憎の天気で初日を拝めることは出来ませんでしたが、世界で最も早く初日を見ることの出来る所はどこだか知っていますか?それはニュージーランドの南島にあるクライストチャーチと言う都市から真東に約1,000キロ離れたところにあるニュージーランド領「チャタム」と言う島です。なぜならそこが日付変更線の直ぐ西側に位置するからであります。赤道直下の国キリバスのように180度線を東西に広くまたがる所やニュージーランドのチャタム諸島のように本国から東西に大きく離れた島々を持つところでは同じ国で日付が違うのは困るので日付変更線を東西に大きくづらしています。地球の公転によりこの時期南半球は真夏ですので同じ経度線上でも南半球の方が夜明けが早いわけで「チャタム諸島」が世界で一番早く初日を拝めるというわけです。もっとも南氷洋のように12月~2月は太陽が沈まないため元旦は一日中初日?を拝めるところもありますが。さて今年は西暦2005年、キリストが誕生したとされる年を西暦1年と定め、今年は2005年目と言うことになります。人の一生に比べればとてつもなく長いように感じられますが、紀元前2500年(今から4500年前)にはピラミッドが建造され、一万年前には日本列島が出現、50万年前には人類が誕生、2億5千万年前には恐竜時代があり、、、46億年前に地球が誕生し、、、と考えると、1946年生まれの私の58年間など宇宙規模で言えば無いに等しいのですものね。海の上に長くいると暇に任せて?ついついこんなことを考えていました。だからせめて短い人生を悔いのないよう潔く(いさぎよく)生きようと心に戒めていました。自然・人・モノを敬う心さえあれば特定の神や仏を殊更大切にすることにそれ程の意味はないと今でも思っています。昔西アフリカのモーリタニアで現地人を乗せて操業をしていた時期がありましたがモーリタニア人は一日に一度必ず太陽に向かって礼拝をする習慣があり(アラーの神への祈り)、曇りの日にはブリッジに「太陽はどちらの方向か?」と聞きに来ていました。クルクル進路を変える操業船故コンパスを見ない限りどちらが東か見当がつかないのです。面倒くさいので適当に「あっち!」と言うと彼らはその方向にしゃがみ込んで何度も礼拝をしていました。礼拝が終わる頃には太陽は彼らのお尻の方向にあるとも知らずに。信じる者は救われる、、、ですね。
今年も又一年間、海や船、魚や地球と言った話題を思いつくまま掲載しようと思います。仕事とは直接関係のない話題を掲載するキャプテンの心境をサッシて頂ければ幸いです。
今年も又一年間、海や船、魚や地球と言った話題を思いつくまま掲載しようと思います。仕事とは直接関係のない話題を掲載するキャプテンの心境をサッシて頂ければ幸いです。
written by
captain-ikebe
2005/01/06
砕氷船
氷が張りつめた水面に航路を開くように設計された船を砕氷船と言います。もともと五大湖やバルト海のような冬季、氷で埋まる地域の水路確保のために使用されていたものが北極や南極大陸の探検で活躍するようになり広く認識されるようになったものです。
日本では1965年に海上保安庁所属の「ふじ」が、1982年には防衛庁所属の「しらせ」が建造され南極観測に貢献してきました。東神奈川のNKK浅野ドックに定期検査のためドック入りしたとき「しらせ」と隣り合わせになり見学をさせてもらいました。
私の乗船していた工船トロール(すり身母船)もふつうの船舶に比べ船首は耐氷構造のため頑丈にできていましたが砕氷船のそれは比較にならないほど頑丈でした。ふつう外板は12ミリ前後の鉄板で出来ていますが「しらせ」の船首部は厚さが1メートルもあり正に鉄の塊でした。私のホームグランドのベーリング海の流氷の暑さは、はせいぜい20~30センチでしたが、それでも全速でぶつかると船首部に凹みが出来る程衝撃は大きいものでした。砕氷船は1~2メートルの氷原を平気?で進んでいくのですから並大抵の構造では耐えられません。氷の破片がスクリュウや舵に巻き込まないような工夫も至る所にされています。薄い氷は船の推進力だけでバリバリと割って進みますが、厚い氷原に出くわすと、激突と乗り上げを繰り返しながら進む「スラミング砕氷」という方法でノロノロと進みます。船首と船尾にバラストタンクがあり水の注排水・移動を行うことで船首を持ち上げたり降ろしたりギッコンバッタンしながら一日何メートルかの前進をするのです。船乗りは気の長い人しか務まらないのがおわかり頂けるでしょう? 船のブリッジから四方を見渡し365度すべてが氷に包まれている流氷をパックアイスと呼びます。砕氷船はこれを自分の船体重量で上から押し割って進みますが、潜水艦がこういう海面に浮上するときは砕氷船とは逆に下から上に全速で突き上げて氷原に浮かび上がります。ハワイ沖で訓練中のアメリカの潜水艦が日本の水産高校の練習船に体当たりしたのはこの種の訓練中でした。余談ですが先般、中国の潜水艦が領海侵犯したさいTVのコメンテーターが潜水艦では正確な位置がでないから間違って、、、、等と馬鹿なコメントをしていましたが自船の位置も海上の様子も空さえも正確な情報は得られのです。練習船「宇和島丸」には私の後輩が指導教官として乗船していましたがさぞ無念だったことと思います。
日本では1965年に海上保安庁所属の「ふじ」が、1982年には防衛庁所属の「しらせ」が建造され南極観測に貢献してきました。東神奈川のNKK浅野ドックに定期検査のためドック入りしたとき「しらせ」と隣り合わせになり見学をさせてもらいました。
私の乗船していた工船トロール(すり身母船)もふつうの船舶に比べ船首は耐氷構造のため頑丈にできていましたが砕氷船のそれは比較にならないほど頑丈でした。ふつう外板は12ミリ前後の鉄板で出来ていますが「しらせ」の船首部は厚さが1メートルもあり正に鉄の塊でした。私のホームグランドのベーリング海の流氷の暑さは、はせいぜい20~30センチでしたが、それでも全速でぶつかると船首部に凹みが出来る程衝撃は大きいものでした。砕氷船は1~2メートルの氷原を平気?で進んでいくのですから並大抵の構造では耐えられません。氷の破片がスクリュウや舵に巻き込まないような工夫も至る所にされています。薄い氷は船の推進力だけでバリバリと割って進みますが、厚い氷原に出くわすと、激突と乗り上げを繰り返しながら進む「スラミング砕氷」という方法でノロノロと進みます。船首と船尾にバラストタンクがあり水の注排水・移動を行うことで船首を持ち上げたり降ろしたりギッコンバッタンしながら一日何メートルかの前進をするのです。船乗りは気の長い人しか務まらないのがおわかり頂けるでしょう? 船のブリッジから四方を見渡し365度すべてが氷に包まれている流氷をパックアイスと呼びます。砕氷船はこれを自分の船体重量で上から押し割って進みますが、潜水艦がこういう海面に浮上するときは砕氷船とは逆に下から上に全速で突き上げて氷原に浮かび上がります。ハワイ沖で訓練中のアメリカの潜水艦が日本の水産高校の練習船に体当たりしたのはこの種の訓練中でした。余談ですが先般、中国の潜水艦が領海侵犯したさいTVのコメンテーターが潜水艦では正確な位置がでないから間違って、、、、等と馬鹿なコメントをしていましたが自船の位置も海上の様子も空さえも正確な情報は得られのです。練習船「宇和島丸」には私の後輩が指導教官として乗船していましたがさぞ無念だったことと思います。
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captain-ikebe