先日北海道に出張した際、宿泊先のホテルの前に「石原裕次郎記念館」があり立ち寄ってみました。記念館の敷地内には裕次郎の愛艇「コンテッサⅡ」が飾られていました。館内にも洋上でのスナップが多数あり裕次郎も海が好きだったんだなあと改めて思いました。
良く耳にする言葉に「七つの海」と言うのがありますがどの海を指して言ってるのか知っていますか?
これには色んな説がありますがキャプテン池辺の説を紹介します。「北太平洋」「南太平洋」「北大西洋」「南大西洋」「南氷洋」「インド洋」「地中海」を指して「七つの海」と呼ぶのが通例になっています。オーシャン(ocean)と呼ばれる海が七つの海に当てはまります。これとは別にベーリング海や東シナ海などはシー(sea)と呼ばれ島や大陸に囲まれたやや狭い範囲の海を指します。世界の海は千差万別でその海独特の顔をしています。日照時間、プランクトンの量、周辺の島々、海流・潮流などの影響で水温、海の色、透明度等々それぞれ特色を持っています。小生は七つの海全てを航海した経験がありますが「黒海」「カリブ海」等「SEA」と呼ばれる海には未だ行ったことがない海域がたくさんあります。地球は銀河系の小惑星と言われますが遙か遠くに輝く星空を見て地球は大きな星だなあと大西洋を横断中(ケープタウンからニューヨークに向け航行中)当直中の船のブリッジで物思いにふけったことがあります。学生時代の遠洋航海で行った南太平洋の海の美しさ(降り注ぐ星空も負けじと美しかった)、神秘的な南氷洋、大時化の北大西洋、等々15年前に陸に上がった河童だというのに訪れた海を今でも思い起こすことが出来ます。仕事から引退したらのんびりと船旅でもう一度「七つの海」に逢いに行きたいなあと思います。
今宇宙にいるスペースシャトルから見た地球は本当に綺麗ですねえ。特に海は!!
2005/09/05
2005/08/02
進水式
いよいよ夏も間近、今月18日は「海の日」と言うことで今回は船の進水式についてのお話です。
船を建造するにはその船を載せる台、すなわち船台(進水台)が必要です。一般的に船台は水面より高い地上に置かれ海に向かってある程度の傾斜(斜めに下がっている)を持って作られています。進水台は二組の重く堅い木材で作られています。新船建造の第一歩はこの上にキール(船底の中心になる人間で言う背骨に当たる物)を載せることから始まります。二組の進水台の一つは「固定進水台」と言い建造作業をする場所から海の中まで真っ直ぐ伸びている動かない台です。もう一つは「移動進水台」と言って固定進水台の上に置かれている物で船底が直接接している台です。船が進水するときは船と一緒に固定進水台の上を滑っていく物です。ある程度艤装が進むといよいよ「進水式」です。先ずキールブロックが外され、固定と移動の両進水台に潤滑油が塗られます。最後に進水台を止めていたスパイクなどの留め金を外すと船は自重で滑りながら海に入っていきます。船上ではこういう作業を知ってか知らずか(多分何も分からずに?)船のオーナーやそのお嬢さん方が軍艦マーチ(何故かバックグラウンドはこの曲が定番でした)を合図に、金ぴかの斧でロープを切るという儀式が行われます。別にロープが切れたから船が滑り出す訳ではなく、この儀式を監視している係りの人が下で作業をしている人に指示を出し、斧でロープが切られた瞬間に最後の留め金を外す仕組みになってるのです。艤装中の船が海に浮かぶとき普通ならば水平に浮かぶ筈ですが艤装というのは船が船台を降り海に浮かんでからも色んな装備をするため、あらかじめバランス計算をし船が水平を保つようウエイト調整をします。これをミスると勢いよく進水した船が傾くという失態を演じるわけで小生が佐伯造船所で艤装中、これを目撃しました。凄かったのはこれを見た当事者(佐伯造船所のスタッフ)がケロリとして「珍しいことではない」と言った顔つきをしていたことです。当時の佐伯造船所のレベルがどれ程のものであったか?後に倒産の憂き目に合うのももっともな話ではありました。これとは逆に長崎の三菱造船所で建造された軍艦武蔵が進水した際、鶴の港と言われる長崎港のこと、水面が足りず勢い余って対岸の出島岸壁に船尾が接触をしたそうです。その時損傷したのは武蔵の船尾ではなく出島の岸壁だったそうで、一躍日本の造船技術・三菱造船所の名が世界に認められた事件でもありました。その三菱造船所でもイギリスの豪華客船が完工を目前に船火事を起こしました。JR事故同様「採算重視」の弊害と言うか、大切な「精神」が失われつつある時代を象徴しているように思えます。会社の「理念」「指針」のしっかりしていない企業に将来は無いと言われるのは当にこのことです。我々もしっかりと大地に脚を付けて地道な努力をしていきたいものですね。
船を建造するにはその船を載せる台、すなわち船台(進水台)が必要です。一般的に船台は水面より高い地上に置かれ海に向かってある程度の傾斜(斜めに下がっている)を持って作られています。進水台は二組の重く堅い木材で作られています。新船建造の第一歩はこの上にキール(船底の中心になる人間で言う背骨に当たる物)を載せることから始まります。二組の進水台の一つは「固定進水台」と言い建造作業をする場所から海の中まで真っ直ぐ伸びている動かない台です。もう一つは「移動進水台」と言って固定進水台の上に置かれている物で船底が直接接している台です。船が進水するときは船と一緒に固定進水台の上を滑っていく物です。ある程度艤装が進むといよいよ「進水式」です。先ずキールブロックが外され、固定と移動の両進水台に潤滑油が塗られます。最後に進水台を止めていたスパイクなどの留め金を外すと船は自重で滑りながら海に入っていきます。船上ではこういう作業を知ってか知らずか(多分何も分からずに?)船のオーナーやそのお嬢さん方が軍艦マーチ(何故かバックグラウンドはこの曲が定番でした)を合図に、金ぴかの斧でロープを切るという儀式が行われます。別にロープが切れたから船が滑り出す訳ではなく、この儀式を監視している係りの人が下で作業をしている人に指示を出し、斧でロープが切られた瞬間に最後の留め金を外す仕組みになってるのです。艤装中の船が海に浮かぶとき普通ならば水平に浮かぶ筈ですが艤装というのは船が船台を降り海に浮かんでからも色んな装備をするため、あらかじめバランス計算をし船が水平を保つようウエイト調整をします。これをミスると勢いよく進水した船が傾くという失態を演じるわけで小生が佐伯造船所で艤装中、これを目撃しました。凄かったのはこれを見た当事者(佐伯造船所のスタッフ)がケロリとして「珍しいことではない」と言った顔つきをしていたことです。当時の佐伯造船所のレベルがどれ程のものであったか?後に倒産の憂き目に合うのももっともな話ではありました。これとは逆に長崎の三菱造船所で建造された軍艦武蔵が進水した際、鶴の港と言われる長崎港のこと、水面が足りず勢い余って対岸の出島岸壁に船尾が接触をしたそうです。その時損傷したのは武蔵の船尾ではなく出島の岸壁だったそうで、一躍日本の造船技術・三菱造船所の名が世界に認められた事件でもありました。その三菱造船所でもイギリスの豪華客船が完工を目前に船火事を起こしました。JR事故同様「採算重視」の弊害と言うか、大切な「精神」が失われつつある時代を象徴しているように思えます。会社の「理念」「指針」のしっかりしていない企業に将来は無いと言われるのは当にこのことです。我々もしっかりと大地に脚を付けて地道な努力をしていきたいものですね。
written by
captain-ikebe
2005/07/05
指揮系統
先日の日曜洋画劇場で「K―19」というロシアの潜水艦を舞台にした映画が放映されていました。ハリソンフォード演ずるロシアの最優秀原子力潜水艦の艦長が原子炉の事故で艦や部下の命、さらには国や世界を原爆の脅威から如何にして守ったかという内容のもので、嘗て小生が船長として乗船していた津田丸の火災事故を思い出しました。生命の危険と背中合わせの仕事、さらには利潤を追求する事業船というのは「指揮命令系統」がきちんと確立・実践されるようになっていなくては旨くいきません。一端事が起これば「じっくり考えて、、、」なんて悠長なことは言っておれません。船長の一瞬の判断ミス、決断の遅れが致命傷となるからです。すなわち企業に大損害を与えるだけでなく乗組員の命やその家族を路頭に迷わせることにも成りかねないからです。そのための備えの基礎となるのは「日常のシミュレーションの反復」です。大時化の時エンジントラブルで船が横波を受けたとき、舵が故障したとき、機関室・船倉・居住区などでの火災発生時の対応、人身事故、操業に関する戦略やトラブル等々「こうなったら、こうする」というようなことを暇さえあれば考えて緊急事態に備えなくてはいけません。事故は往々にして「予想もしない」原因で発生するものです。日頃のシミュレーションの範囲内での事故でさえ的確な指示を即座に出すことは難しいものです。ましてや予想外の事故に直面したときの指揮官の判断と決断の重要性は計り知れないものがあります。機関部・甲板部・司厨部・事務部・製造部にはそれぞれ機関長・一等航海士・司厨長・通信長・工場長といった各部のリーダー(サロン級士官)が居ます。その下に士官・下士官・部員といったスタッフが居てピラミッド型の組織が構築されています。100人近い乗り組み員を統率して行くうえで一番大切なことは「全員に共通する目的をはっきり認識させること」です。「一人の落伍者もなく全員が元気に帰国すること、他船よりも好成績を上げ収入を多く得ること」そのためには一人一人が何を成すべきかを「言葉で、態度で、職権で」全員に認識させることです。指揮官の方針はピラミッドを順次下っていくように直属の部下に伝達していく仕組みを構築すれば仕事は旨くいきます。封鎖的な船内生活をスムーズに遂行するため「指揮命令系統」を始め船の世界ではいろいろと工夫された慣習が多々あります。そしてこれらは全て陸の世界でも通用することをキャプテンは河童になって初めて知りました。人は皆平等、職位で人間の価値が決まるものではありません。与えられた部署で如何に力を発揮するか、発揮できるかがその人の「人間としての評価」「仕事人としての価値」なのです。我が社の社員が得意先や業者の方々から褒められたときの喜びは何物にも代え難く「同じ釜の飯を食う」仲間の評価点を出したり給与決める重たい作業から一瞬なりとも解放されます。
皆さん!良い仕事をして素晴らしい絆を築いていきましょう!!
皆さん!良い仕事をして素晴らしい絆を築いていきましょう!!
written by
captain-ikebe