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2004/02/21

氷山

先日、NHKのプロジェクトXで「南極観測船宗谷」のドキュメントを観て、20年前一等航海士時代に2度南氷洋にチャレンジした頃を思い出しました。そこで「海の散歩道」の第一回は「氷山」についてお話ししようと思います。
 氷山の形を見ただけでそれがどの海域のものか直ぐに分かることを皆さんご存じですか?
南氷洋の氷山は南極大陸に何万年もの間に積もった雪が氷となりそれが重力で海面に押し出され、やがて重さに耐えかねて洋上に浮かんだもので「テーブル型」と言う平べったい形をしています。従って大きいのになると周囲が10キロ近くもあるような島のような氷山も多々見ることが出来ます。
 それに比べ北大西洋の氷山は切り立った山の氷が崩れ落ちフィヨルド等に流れ出たもので「マウント型」と言われる尖った形をしています。タイタニック号が衝突した氷山はこれにあたります。デカプリオちゃんが舳先に立っていたから前が見えなくて衝突した?なんて事はありませんが氷山の7割近くは海面下に沈んでいますので意外と衝撃は大きいのです。この他に北極海、ベーリング海等に浮かぶ氷山は海が凍って出来たもので氷原を形成します。これが気温の上昇などで切り離され海流や風によって流されてくるものが「流氷」です。これらは塩分を含んでいるためウイスキーの「水割り」用の氷にはなりませんが南氷洋の氷山は「水割り」に最適です!  これら氷山は何年もの間洋上に浮かんでいるため徐々に解けて小さくなりやがて比重の逆転が起こり上下が逆になります。長年水面下にあった部分が海面上に浮かぶため色は白から青に変わります。これをブルーアイスと呼びますが時化た日などは肉眼では非常に見えにくく船乗り泣かせの氷山です。
 「氷山点々たり南氷洋 我粉骨砕身魚群を追う」