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2011/12/12

皆既月食

先週の土曜日は「皆既月食」が見られると言うので楽しみにしていた。夕方より厚い雲が出現し皆既月食の始まるころには雨が降り出してしまい今年最後の天体ショーはあっけなく幕引きとなった。
地球は勿論太陽系の惑星は太陽を中心に公転し、地球の惑星である月は地球を中心に公転している。その公転軌道を前者は「黄道」、後者を「白道」と呼ぶ。自転公転が感覚的に捉えにくいため、地球を中心にあたかも他の天体が回って見えるように考えられたのが「天球」である。この天球上に「黄道」「白道」「天の赤道」を描くと季節の移り変わり、天体の位置関係などが理解しやすくなる。等々は小中学校で習ったはずであるが通常の生活の中でそれらを何時も頭に描き、目で見ると又違った感覚で「季節」「自然」「宇宙」を感じる事が出来る。
今回のような皆既月食に遭遇すると太陽を中心に公転する地球と地球を中心に公転している月が「太陽⇒地球⇒月」と一直線上に並ぶことで惑星が「公転」していることを実感できるとても良い機会であった。
先月の夜半、何かに呼び起される様な気がして目が覚め、ベッドの中から寝室の小窓を見上げると深々と輝く「シリウス」が小窓の中心にあった。余りにきれいなのでベランダに天体望遠鏡を運び出し、暫し天体観測を楽しんだ。シリウスの西側、天頂付近に冬の星座の代名詞「オリオン座」が燦然と輝き、その又西空高く「木星」が綺麗な縞模様を見せ、その周りに数個の惑星が輝いていた。宇宙遊泳の素晴らしさを社員や親友に話してもなかなか興味を持ってくれないのが寂しい限りであるが何れその素晴らしさが分かってくれると淡い期待を抱きながら酒のつまみに宇宙談議をする昨今である。

2011/11/14

南極大陸

TBSの大型ドラマ「南極大陸」を楽しみにしていたが回を重ねるたびに失望の度合いが大きくなってきた。何はともあれ「キムタク」のお粗末極まりない迷演技?がこのドラマを台無しにしている。製作費がいくらかかったか知る由もないが、中身空っぽ同然のドラマを毎週我慢しつつ観ているのもつらくなる。
第二次越冬隊を載せた「宗谷」が厚い氷に阻まれ着岸できず、当時最新の砕氷艦と言われていたソ連の「オビ号」が助けてくれたニュースを小学校の映画教室で観た記憶があるが、戦後日本の歴史を象徴するストーリーが「キムタク」のお陰で台無しになってしまったのだから、責任は彼を主役?に抜擢したテレビ関係者にあること間違いない。
嘗て南氷洋に二度行った経験のある小生としてはあのテーブル型の氷山を映像で観るだけでも懐かしいが氷塊を割って進む宗谷の姿や暴風圏の中を航行する船の模様を皆さんに観てほしいとの思いが強かった。
5000万年前に南アメリカ・アフリカ大陸から離れ3000万年前に今の南極大陸の姿になったとされる「南極大陸」は計り知れない魅力がある。
時化の中の宗谷、なぜあれほど揺れるのか?素人には到底理解できないであろうがあれにはそれなりの理由がある。普通の船には横揺れ(ローリング)を緩和するためにビルジキールという羽のようなものが両舷の船底付近についているが、砕氷艦にはそれがないためローリングがひどいのである。先日砕氷艦「しらせ」の7代目の艦長をされていた方とお会いする機会があった。彼が経験した横揺れの角度はナント45度!と聞いてびっくりした。ちなみに小生がキャプテンをしていた竹生丸・津田丸は大時化の中でも20度程度であったことから如何に砕氷艦が横揺れに弱いか想像できるのではないかと思う。
嘗て東神奈川のNKK浅野ドックに入渠した際、砕氷船「ふじ」と隣合わせだったことがある。見学させてもらって驚いたのは船主の厚みが1メートルという鉄の塊であたことである。小生の船もベーリング海では厚さ20センチ程度の流氷を割って進むことができたがドック入りすると船主部分はでこぼこに凹んでたものである。
日本人として最初に南極大陸に上陸した白瀬中尉の残した言葉に「我亡くも、必ず探せ南極の、地中の宝世に出るまで」というのがある。それほど南極大陸には地下資源が大量に眠っているのである。が!なにせ平均標高2200メートル、冬場の平均気温マイナス70度というような過酷な大陸である。
資源の発掘よりも将来の地球を守る科学的研究の場として、各国の越冬隊はますます活躍してほしいと願うのみである。

2011/06/25

南極と北極

南極と言えばペンギン、北極と言えば白熊を誰もが連想するが何故南極に白熊が、北極にペンギンが居ないかとなるとうまく説明できる人は余り居ないのではないか?熊が地球上に出現したのは2500万年前くらいといわれているが、その頃には南極大陸は既にほかの大陸とは随分かけ離れていたので熊が餌を求めて南極大陸に移り住むことは不可能であったわけである。水深5000メートル近い北氷洋に張り詰めた分厚い氷の上で主食のアザラシをむしゃむしゃ食べながら生き延びたホッキョクグマは何万年も前、餌を求め北へ北へと移動する中で寒さに耐える為に徐々に身体が大きくなって現在の姿になったとされている。
一方のペンギンが何故南極に棲んでいるか?南極大陸周辺には湧昇流と言う垂直方向の海流が流れており、栄養豊富な深層水が表層近くに湧き上がっている。これにより「藻類」が繁殖し、それを「オキアミ」が食べ繁殖をし、それを主食とするペンギンが集まるようになった。南極以外にもペンギンは南半球の所々に存在するがこれは南極大陸を端に発し南アメリカ大陸の西岸を北上するフンボルト海流に流されて辿り着いたとされる説が一般的である。それ故北半球までペンギンが移動することは不可能であったため北極にはペンギンが生息しないと言うことになる。
余談ではあるが北洋に比べ南氷洋の方が遥かに美しくロマンを感じる。悠然と浮かぶテーブル形の氷山、細かく裂けた流氷の上に一列に並ぶペンギン、時折潮を吹く鯨の群れ、、、もう一度訪れてみたい海域の一つである。

2011/06/18

雲の種類

世界気象機関(WMO)によって定められた雲の種類は10種類ありこれを「10種雲形」と呼ぶ。これは雲が出来る高さによって上層雲・中層雲・下層雲の三つに分けられ、更に塊状か、層状か、雨を伴うか、によって分類されている。従って雲の名前のつけ方の基本は①高さ ②形 ③雨 と言うことになる。具体的には上層雲には「巻」の字、中層雲には「高」の字、下層雲には「巻」も「高」もつかない。更に塊状の雲には「積」の字、水平に大きく広がった層状の雲には「層」の字が付き、雨を伴う雲には「乱」の字が付く。高い順に言うと①巻雲②巻積雲③巻層雲④高積雲⑤高層雲⑥積雲⑦層積雲⑧層雲⑨積乱雲⑩乱層雲となる。10種類の雲の特徴、別名は以下のとおり。
①巻雲[cirrus](すじぐも・しらすぐも)
春と秋に多く見られ刷毛で掃いたような離れ離れの長い繊維状の雲
②巻積雲[cirrocumulus」(うろこぐも・さばぐも)
小さな塊状の雲片がたくさん集まった雲。魚の鱗に似ていることから「うろこ雲」「さば雲」と呼ばれているが不安定な雲なので形が変化しやすく美しい巻積雲を長い時間見ることは出来ない。
③巻層雲「cirrostratus」(うすぐも・かすみぐも)
春先に良く見られ、空全体を薄く覆う白みを帯びた雲でその存在に気づきにくい。「暈(かさ:光の輪)」が見られるのは此の雲
④高積雲「altocumulus」(ひつじぐも・まだらぐも)
陰影がはっきりしている朝夕は非常に美しい雲、種類も多い。
⑤高層雲「altostratus」(おぼろぐも)
中間の高さに出来るやや厚めの層状の雲で空全体が灰色一色になる。太陽や月の輪郭がぼやけて見えるのはこの雲のとき。
⑥積雲「cumulus」(わたぐも)
雲片の上部はドーム状、下部は水平、綿が膨らんだような一番多く見られる雲。夏場は上昇気流の影響を受けると積乱雲に変化する。
⑦層積雲「stratocumulus」(まだらぐも)
塊状の雲が集まって広く層を作り空を低く覆う。くもりぐも・うねぐもとも呼ばれる。
⑧層雲「stratus」(きりぐも)
霧と見間違うほど低い位置に出来る。山間などに良く見られるがあまり長い時間存在しない。
⑨積乱雲「cumulonimbus」(にゅうどうぐも)
上昇気流で出来る背の高い雲。夕立、スコール、雷雨は此の雲のために起こる現象。
⑩乱層雲「nimbostratus」(あまぐも)
雨雲の名のとおり雨を降らす雲。
間もなく梅雨明け!真っ青な空に真っ白な雲、名前を当ててみるのも楽しいのでは?

2011/05/25

異常気象と入梅

ここ数年、世界規模での異常気象が各地で起こっている。昨日、九州地方に入梅宣言が出されたが、二週間も早い入梅も異常気象といえるのではないか?例年に比べ燕の飛来も少ない気がするし、降雨量の極端な低さも気になるところである。
そもそも「梅雨」という季節(気象現象)があるのは世界広しと言えども中国大陸東岸から日本にかけてだけである。何故この地域だけなのかといえば「ジェット気流」が起因する。南の暖かい空気と北の冷たい空気がぶつかり地球の自転の影響で地球上に西から東へ吹く風が生じる。これがジェット気流であるがこの風がヒマラヤ山脈に当たり南北に空気の流れが分断され日本はその隙間に当たるため風が弱まりそこに南の湿った空気が流れ込み梅雨前線が出来やすくなるというのがこの地域のみに「梅雨」が存在する理由である。
地球の地軸が23,5度傾いているだけで高緯度では「四季」が存在する反面、低緯度地方は雨季と乾季のツーシーズンのみとなる。何億年もの間、規則正しく自転・公転を繰り返してきたのに「異常気象」が顕著に起こり始めているのは何故なのであろうか?文明の発達による地球環境の変化がその主たる要因であることには違いないが「地球の温暖化」を食い止めるだけでも世界各国の思惑が交差し一向に前進の気配すらない。一昔前の梅雨は餌を求めて低空を飛ぶ燕やケロケロと鳴く雨蛙の鳴き声を長閑と感じていたが、最近ではそのような気分に浸れなくなった。季節はずれの蝉の鳴き声や異様に早い燕の飛来に違和感を抱くことのほうが多くなった気がする。今年の慰め?は山間部を車で走った際、よく見かけた「山藤」の美しさである。藤棚のそれよりも遥かに風情のある藤色は印象に残った。7月には「梅雨のない北海道」への旅行を控えこれまた違う自然を満喫できると楽しみにしている今日この頃である。

2011/05/24

星空遊泳

うしかい座のアークツールス、おとめ座のスピカ、しし座のデネボラが作る三角形を「春の大三角形」と呼ぶ。船乗り時代、アラスカの子会社のキャッチャーボートに「アークツールス」という名の船がいたこともありこの星には愛着がある。今年は小生の大好きなサターン(土星)をこの「春の大三角形」の中のおとめ座周辺で見ることが出来る。昨年は土星の輪が水平になり殆ど消えた状態になったため見る気になれなかったが今年はあの美しい輪が出現した。先日、急に星空が見たくなり久しぶりの星空遊泳となった。
夜空を仰ぎたいという気持ちは精神的にどういう状態のときに起きるのであろうか?子供の頃は天の川を眺めては、ひたすら「綺麗!」と感激し、小中学生の頃は星座を覚えては夜空を眺め、目当ての星座を見つけては喜んだものである。大学時代はもっぱら「天測」のターゲットとして夕闇迫る大海原で一等星をいち早く見つけるのに懸命になった。社会人になってからは世界中の海でその地域、季節でしか見れない星座や星が心を和ませてくれた。
陸に上がって今年で20年、買い求めた天体望遠鏡も6台になった。季節ごとに変化する星空を一人眺めているときの静けさ、心の安らぎは他のどんな趣味にも勝るとも劣らない。
渓流釣りが趣味という変わり者の親友に「星空観察」を薦めているがいまだその気にはなってくれない。真っ暗闇の山野で渓流の音を聞きながら夜空を仰げばどれほど素晴らしいだろうと思うのだが、、、親友に「星」を薦める小生の楽しみは一緒に渓流釣りをするのではなく、今のところ彼の持ち帰る「獲物」であることは内緒にしている。北洋や南氷洋といった極寒の地でみる星も赤道直下の満天の星もいまだ脳裏から消えることはないが何時の日かあの若かりし頃に訪れた外洋で降り注ぐ星に身を溶け込ませたいと願っている。