Pages

2011/11/14

南極大陸

TBSの大型ドラマ「南極大陸」を楽しみにしていたが回を重ねるたびに失望の度合いが大きくなってきた。何はともあれ「キムタク」のお粗末極まりない迷演技?がこのドラマを台無しにしている。製作費がいくらかかったか知る由もないが、中身空っぽ同然のドラマを毎週我慢しつつ観ているのもつらくなる。
第二次越冬隊を載せた「宗谷」が厚い氷に阻まれ着岸できず、当時最新の砕氷艦と言われていたソ連の「オビ号」が助けてくれたニュースを小学校の映画教室で観た記憶があるが、戦後日本の歴史を象徴するストーリーが「キムタク」のお陰で台無しになってしまったのだから、責任は彼を主役?に抜擢したテレビ関係者にあること間違いない。
嘗て南氷洋に二度行った経験のある小生としてはあのテーブル型の氷山を映像で観るだけでも懐かしいが氷塊を割って進む宗谷の姿や暴風圏の中を航行する船の模様を皆さんに観てほしいとの思いが強かった。
5000万年前に南アメリカ・アフリカ大陸から離れ3000万年前に今の南極大陸の姿になったとされる「南極大陸」は計り知れない魅力がある。
時化の中の宗谷、なぜあれほど揺れるのか?素人には到底理解できないであろうがあれにはそれなりの理由がある。普通の船には横揺れ(ローリング)を緩和するためにビルジキールという羽のようなものが両舷の船底付近についているが、砕氷艦にはそれがないためローリングがひどいのである。先日砕氷艦「しらせ」の7代目の艦長をされていた方とお会いする機会があった。彼が経験した横揺れの角度はナント45度!と聞いてびっくりした。ちなみに小生がキャプテンをしていた竹生丸・津田丸は大時化の中でも20度程度であったことから如何に砕氷艦が横揺れに弱いか想像できるのではないかと思う。
嘗て東神奈川のNKK浅野ドックに入渠した際、砕氷船「ふじ」と隣合わせだったことがある。見学させてもらって驚いたのは船主の厚みが1メートルという鉄の塊であたことである。小生の船もベーリング海では厚さ20センチ程度の流氷を割って進むことができたがドック入りすると船主部分はでこぼこに凹んでたものである。
日本人として最初に南極大陸に上陸した白瀬中尉の残した言葉に「我亡くも、必ず探せ南極の、地中の宝世に出るまで」というのがある。それほど南極大陸には地下資源が大量に眠っているのである。が!なにせ平均標高2200メートル、冬場の平均気温マイナス70度というような過酷な大陸である。
資源の発掘よりも将来の地球を守る科学的研究の場として、各国の越冬隊はますます活躍してほしいと願うのみである。