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2005/10/05

船の速力

毎週火曜日の21:00から始まる「海猿」と言うドラマを楽しみに見ています。ブリッジや船室の様子を見るたびに昔の船乗り時代を思い出すからですが嘗ての職業柄か?この巡視船の速力は相当遅そうだなあと思っていたら案の定ドラマの中でも「退役」が決まったと言うことで、なるほどなと思いました。
蒸気船の出現で帆船時代に別れを告げた船舶の推進力はその後の時代の変遷とともに急速な発展をしました。推進機関別に船舶を分類すると外輪船、スクリュウー・プロペラ船、ウオータージェット船、エアクッション船、リニアモーター船などがあります。原動力で分類すると帆船、機帆船、蒸気タービン船、ガソリン船、ディーゼル船、原子力船に分けられます。私の乗っていたトロール母船のスピードは最高速度18ノット(時速30キロ程度)でしたが現在の最新鋭の駆逐艦は40ノット(時速80キロ程度)近くのスピードが出ます。船のスピードは船体の水に対する抵抗と推力の相対関係で決まりますので原子力船だからといってスピードが出るとは限りません。水の抵抗を少なくすることでスピードアップしたものにホーバークラフトがあります。空気を真下に噴射し船体を浮かせることで水の抵抗を排除し後部船上にあるプロペラの推力で前進するため時速100キロ以上のスピードが出るわけです。航空母艦は戦闘機が高速で着艦するため相対速度を軽減させるためにはある程度のスピードが必要となってきます。5万トン級の母艦は戦闘機の着艦時は35ノット程度の最高速力で航走しそれを追いかける形で戦闘機が着艦します。300メートル程度の飛行甲板ではそれでも着艦距離が足りず「ストッパーワイヤー」に戦闘機のフックを引っかけ止まる仕組みになっています。陸上の時速30キロと言ったらかったるいスピードですが海の上では可成りのスピード感があります。特に洋上での船同士の接舷や港での着岸時は対象物に近づく程自分の船のスピードが怖いほど速く感じられます。何せ自動車のように急ブレーキがかけられないのですから。私の乗っていた竹生丸は全速前進から一気に後進全速に切り替えて船が完全に停止するまで約2キロ航走します。タイタニック号が氷山に衝突する場面を映画で観た方はお分かり頂けると思いますが船というのは左右に曲がったり止まったりバックしたりがとても自動車の様にはいかないのです。
船は沈むものと怖がっているK君、これを読んで我が意を得たり???