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2004/09/18

ドック

船の建造、修理、係留に使われる施設の総称を「DOCK」と言い係留ドック、乾ドック(ドライドック)、浮きドックの三つに大別されます。係留ドックはコンテナ専用船や鉱石運搬船、自動車専用船等が決まった施設内に係留し荷物の積み降しをするため広いスペースが確保されているのが特徴です。大分では我が家の近くにある大在コンテナターミナルが大型のガントリークレーン(四つ足の櫓)を二機備えた本格的な係留ドックとして有名です。
 ドライドックは船の建造や船底部分の修理などを行うときに利用するドックです。三方をコンクリートや石で固めてプール状にし、海に面した側に扉を付けた物で満潮を利用して船を内に引き入れ扉を閉じ、プールの中の海水をポンプで排水しキール盤の上に船をどっかりと座らせ、丸太やロープで船を固定させ建造・修理を行う物です。小生が乗船していた「竹生丸」「津田丸」は臼杵鉄鋼佐伯造船所のドライドックで建造されました。殿や佐野ちゃんがその頃佐伯の町に居たと思うと何だか不思議な気がします。
 浮きドックは断面が凹型の鋼製の箱舟状の浮体で、凹型の中空部に海水を入れて凹部を沈ませた後、船をその中央部分に引き入れてから排水をします。排水が進むと凹型のドックが船体を持ち上げながら浮いてきて海面上に船底部が持ち上がる仕組みです。これはドライドックに比べ安価に造ることが出来、海上に浮かべて作業が出来るなどの利点があります。
 我々船乗り(今は陸に上がった河童ですが)が新船艤装(新しく船を建造すること)に立ち会えるのは希です。小生は幸運にも時代・環境にも恵まれ「竹生丸」「津田丸」と言う国内最大級のすり身工船(トロール母船)の建造に立ち会うことが出来、しかもそれが出身地の造船所であったことは幸運の何物でもありません。
 ドックにはドックハウスと言って乗組員や工務の人たちが寝起きする施設があります。練習船でドック入りした三菱重工長崎造船所や船長時代頻繁に入港したNKK等のドックハウスは一寸したホテル並でしたが佐伯造船所は安アパート風なローカルなドックハウスでした!長崎造船所のドックハウスは明治時代の頃はグラバー邸の上にあったそうで今でも観光名所になっています。NKK(日本鋼管)のドックハウスに入っていた頃は実業団バレーの全盛期でNKKの選手と一緒に宿泊することもありました。選手がハウスを出るときは必ず「追っかけ」女学生が門の前にいてサインをせがんでいましたが小生も一度選手になりすまし「ikebe」とサインをしたことがありました。決して彼女たちを騙したわけではなく「サイン下さい~~」と言うリクエストに応えただけですから念のために。