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2004/05/14

大陸棚

大陸あるいは島の周縁部に広がる傾斜の緩やかな海底を大陸棚と言います。北米大陸西岸の大陸棚の様にベーリング海に向け数百キロに及ぶ所も有ればアフリカ大陸東岸の様に数キロで深海へと落ち込む海域もありその規模は様々です。大陸棚内部にはバンクと呼ばれる更に水深の浅い部分があり、これに海流がぶつかり湧昇流(ゆうしょうりゅう)が発生し海底から栄養価に富んだ堆積物が供給されプランクトンが多量に発生します。従って魚類の生息しやすい環境が形成されることから大陸棚が好漁場と成るわけです。日本近海では大和堆(やまとたい)、武蔵堆(むさしたい)が有名ですが世界的に好漁場を持つ大陸棚としては北海、北米南東岸、ペルー、アラスカ湾、ニューイングランド等があげられます。ニュージーランド東岸のように一旦大陸棚が深海へと落ち込んだのち再び水深1,000メートル位の所にバンク(水深200メートル位)が出現する様な海域もあります。
私の様な船乗りは海原の真っ直中(漁場)にいても陸の地図と同じように今自分の船が何処にいるか魚群探知機に映し出される等深線の形状を見ただけで分かるほど海底の起伏は複雑なものです。地球の三分の二は海なのですからもっともっと海洋開発がなされても良いのになあと水平線をぼんやり眺めながら嘗てのキャプテンは深海の模様を想像しながらパイプを燻らせていました。海洋版「未知との遭遇」というかまあこんな調子で一年を過ごすのですから外野から「変人」「奇人」と呼ばれても仕方ないのかもしれませんね。
 ところで最近問題になっている「尖閣列島」の領有権もこの大陸棚と深い関係が有るのですよ。大陸内部にある国々の国境は普通川や湖、山の稜線などで「領土」を決めていますが日本のような海洋国や海に面した国々では「領土」すなわち陸地と沿岸の一部すなわち「領海」をもって「領土」としています。潮の満ち引きがある海岸線では領海の元になる陸地と海との境界線を決める必要があります。(潮の干満の大きいところでは数メートルの差が有るほどですから)
 次回は「領空」「領海」「領土」についてのお話をすることにして取りあえず今月は日本国を脱出し直に「領空」「領海」「領土」を肌で感じてきましょう!余り深入りせずに!