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2008/02/08

星空

船乗りなら聞きなれた言葉であるがゼロヨン、ヨンパー、パーゼロと言う言葉がある。ワッチの時間帯のことであるが、ゼロヨンとはミッドナイトから午前四時を意味する。船は概ね3直制で当直が組まれゼロヨンは二等航海士、ヨンパーは一等航海士、パーゼロは三等航海士と言うのが一般的である。仕官のトップである一等航海士がヨンパーを担当するのには意味がある。昔は船位を求めるのに「天測」と言う方法しかなかった。ロラン・デッカ・衛星航法と言った電波航法が発達してからは実務で天測をすることはなくなったが練習船の航海実習では今なお天測実習が必須科目になっている。ヨンパーの重要な役割にこの「天測」がある。星の高度を測るには六分儀(セクスタント)と言う計測機器を使い水平線から星の高度を測るので水平線が見えている時間帯でないと計測ができないという訳である。大洋を航行するときほど船乗りにとって退屈なことはない。海域にもよるが、島影も映らない、レーダーには船影も映らないことが多い。ゼロヨンは特にである。小生の二等航海士時代は眠気覚ましにブリッジの横にあるウイングデッキに出て満天の星空を見ては眠気を覚ましていた。陸に上がって十数年になるが夜空の星を眺めては学生時代の遠洋航海で天測実習の際必死で一等星を探したことを思い出す。
さて、この時期(冬空)南の空には一等星が一年を通じて一番多く輝く。オリオン座のリゲルの東にはおお犬座のシリウス、その北には子犬座のプロキオン、そこから天頂方向にふたご座のボルックス、オリオンの真北にはぎょしゃ座のカペラ、そこから南西方向に下がったところに「おうし座」のアルデバランがありこれらを結ぶと天空に六角形ができる。これを冬の大六角形と呼び一等星以下の星や星雲を探す際の道標になる。
年末には「火星」が地球に接近したが愛用のビクセン望遠鏡で毎夜火星に思いを馳せた。この火星は「惑星」と呼ばれるが何故そう呼ばれるのかを知ってる人はかなりの天文通である。惑星は恒星と違い複雑な軌道を描くため惑う星=惑星と呼ばれるようになった。恒星は字のごとく動かない星と言う意味であるが実際はものすごいスピードで動いている。地球からの距離が何億光年、何千臆光年と離れているため静かに止まっているように見えるわけである。
海の広さも計り知れないほど大きいがトコトコトと走っていると何時か目的地に到達する。宇宙の広さは感覚では捕らえきれることができないほど大きい、、、スペースシャトルが大気圏を抜け出し地球の周りを周回しているがすぐそこである。生活に直結する科学はめまぐるしく発達しているが宇宙開発は未だヨチヨチ歩きの状態である。だからこそ未知の世界へ惹かれるのであろう。