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2004/07/16

潮汐(ちょうせき)

釣りをされる方は特に汐の満ち引きには敏感ではないかと思いますが今回は「潮汐」についてやや科学的?なお話をします。
 月は太陽に比べるとはるかに地球に近いため潮汐の主要な原因となります。地球に及ぼす月の引力は地球が太陽を中心に公転していることからおこる遠心力と全体的に釣り合っています。遠心力の大きさは地球上何処でも同じですが引力は月からの距離で異なります。すなわち月に面した地表では引力が遠心力より大きく、裏側(月と反対側)は遠心力が大きくなります。そのため月に面した側では海水は月の方に引かれ盛り上がり、反対側でも海水が月と反対側に引かれ盛り上がります。すなわち「満潮」「干潮」は地球上で常に二箇所発生していることになります。
 地球が自転しているため世界のほとんどの地域で一日二回の満潮と干潮が起こることになります。月と同様太陽によっても地球の両側で海面が盛り上がりますが太陽は地球から遠いため潮汐を起こす力は月の半分程度です。満月と新月には太陽・月・地球が一直線に並ぶので潮汐を起こす力は最大になり、これを「大潮」と呼びます。逆に上弦の月、下弦の月ではお互いの引力がうち消されるため潮差が最小になりこれを「小潮」と言います。海には大きく分けて二つの種類の流れがあります。その一つがこの潮汐によって起こされる「潮流」です。潮流は時間によって早さ、方向が変化し更にその地域の地形によって独特な動きをします。潮差の大きいところではカナダのファンディー湾が有名で大潮の時には18メートルにも達します。私が遠洋航海で訪れたオーストラリアの北岸、ポートダーウインと言う港でも潮差が6メートルもあり、入港時タラップを降りて(船の上から岸壁に)市内観光に出かけたの帰船したら船のマストしか見えず、今度は岸壁から船のアッパーデッキに下向きにタラップを降りたことがありました。船乗りをしているとこういった自然の力、宇宙の力を実感することが多々あり私のように世間離れをしていくのであります。ハイ! 潮汐の持つエネルギーはこのように偉大なもので、この力を利用して世界各地で潮汐エネルギーを利用した発電所が稼働をはじめました。潮汐の影響を受けやすい河口にダムを建設し上げ潮、下げ潮の潮流でタービンを回し電気を作るといったプロジェクトです。海の恩恵の大きさは計り知れないものがあるのです!