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2005/06/01

灯台

皆さんが港で見かける灯台には赤灯台と白灯台がありますが、これにはルールがあります。水源(海から見て陸地側)を背に左手側に赤灯台(光は赤色光)、右側に白灯台(緑色光)が設置されています。岬には白い灯台が設置されていますが雪の多い地方などでは灯台が白くては確認し難くなるので黒や赤の横縞を入れた灯台もあります。夜間真っ黒な海に点いたり消えたりする灯台の光にもルールがあります。暗い海では灯台が同じ光り方をしていると位置が分からなくなりますので灯質(光り方)を変えて何処の灯台かを知る仕組みになっています。閃光と言ってパッパッと光るものや群光と言って光りを放つ長さを長短で表したも、この二つを組み合わした群閃光などがあり、更にそれぞれ色分け(白色・赤色・緑)をして何処の灯台かを識別出来る仕組みになっています。
これらは「灯台表」と言う本に告示されています。現在は高性能のレーダーやGPSが発達しているためいちいち灯台の光を確かめて航行する船はまず無いと思います。小生の学生時代、遠洋航海で外国の港に入港するときは予め灯台表で灯質を調べておいてレーダー位置に間違いがないかを灯台の光と方位で確認すると言った実習をしていました。航路標識は大きく分けると三つに分類されます。①光波標識②電波標識③音波標識です。①の光波標識には岬や島や防波堤に建っている「灯台」、船が座礁しないよう浅瀬や暗礁に建っている「灯標」、浅瀬や暗礁のある海の上に浮かんでいる「灯浮標」、暗礁や防波堤を照らして危険を知らせる「照射灯」、港への進入コースを知らせる「導灯」等があります。電波標識には中波無線標識、マイクロ波無線標識、ロランC、GPS等があります。音波標識とは霧や雪で視程が低下したときに大きな音(霧笛や鐘の音)を出して船に位置を知らせるものです。「喜びも悲しみも幾年月」と言う灯台守の生涯を映画化した作品を知っている人は小生の年代位までかもしれませんが昔の灯台守(海上保安庁の職員で灯台を守るのが仕事)が苦労した事を映画で知っていた小生は灯台の光を見るたびに切ない思いに駆られたものです。瀬戸内海を夜航行すると灯台や灯浮標が左右両舷を幾つもいくつも通りすぎて行くのを見ることが出来ますが正に旅の旅情を否応なしにかき立ててくれます。船首が波を切る音とそれによって出来る夜光虫の帯、静かに寂しく光る航路標識や夜間航行中の船舶の灯火、、、是非皆さん一度瀬戸内海を船旅してみてください。見渡す限り海又海の南氷洋やベーリング海から帰国の途中最初に見る灯台も何とも懐かしく美しいことか!緑濃い岬にそびえる真っ白な灯台は本当に心が和みます。
 「船は沈むもの」と信じて疑わないK君、船はJRよりも安全です、キャプテンが保証します!