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2004/10/04

低気圧と台風

台風16号が県下を直撃し猛威を振るいましたが皆さん被害はありませんでしたか?
 台風についてはvol.2で 説明済みですが「低気圧」の定義はご存じでしょうか?台風に比べて至極簡単「周囲より気圧の低い所」を低気圧、高いところを「高気圧」と言うだけなのです。南太平洋上の海水温が年間を通じ26度C以上の海上で、熱のため水蒸気が飽和状態になり、そこに太平洋高気圧の比較的冷たい空気が北東より流れ込むため上昇気流が発生します。地球の自転により渦巻きは北半球では半時計方向となり時間と共に勢力が大きくなっていきます。これが熱帯低気圧の誕生ですが何故台風は日本に向かってくるのでしょう?台風の予想進路がズバリ的中するにはそれなりの法則があります。低緯度で発生した熱帯低気圧は原則的には貿易風(北東から南東に向けて一年中吹く風)の影響を受けて西進するのが普通です。又太平洋高気圧の周辺に沿って進む習性や気圧の谷・前線のある方向へと進んでいく習性の為、西進して中国大陸に上陸するもの以外は上記条件を満たす環境海域へと北西進してきます。中緯度以北は偏西風(西から東へ一年中吹く風)が吹いているためと、日本列島付近が太平洋高気圧の周縁部に当たることから、九州南岸あたりから急に進路が東寄りに変わります。台風が急に進路を変えるこの点を「転向点」と言います。太平洋高気圧の張り出し具合並びに大陸の低気圧や高気圧の気圧配置によりこの転向点がある程度予想出来るためテレビの天気図であれほど正確な進路やスピードが示されるわけです。低気圧や台風の影響を推測するときその地域が台風の進行方向に対して右半円(東側)に当たるか左半円(西側)に当たるかで影響力は全く違います。右半円は台風の進む方向へのベクトルと風が半時計方向に回り込むベクトルが一致するため左半円に比べ風雨共に強いのが特徴です。今回の宮崎・大分の被害が大きかったのはこのせいです。
 さて、サバイバル知識?をもう一つ!手元に何もない状態で海や山で嵐にあったとき低気圧の中心を概ね知る方法があります。風を真後ろ(背中)に受けるように立ち両手を水平に伸ばします。このとき低気圧の中心は左手前方30度の方向に位置することが分かります。又風向の変化で低気圧の中心が自分の位置の東西どちらを進んでいるかも判断できます。風向が東→北→西と半時計方向に変化するときは東半円に、風向が東→南→西と時計回りに変化するときは西半円に自分が居ることが居ることが分かります。昔甲種船長の国家試験の筆記試験に合格し、口述試験を受けた際、この低気圧の風の変化に対する「船舶の避航方法」について聞かれたことがあります。試験管曰わく「風向の変化を如何に判断し、如何なる避航動作をとるべきか」と。受験生のキャプテン(このときは未だ甲種一等航海士免許)応えて曰わく「事業船に避航等有りません、時化が過ぎるのを戦場(漁場)でひたすら待つのみ、過ぎ去ったら即操業できる体制を整えておきます」と。結果は見事不合格でした!