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2012/02/03

ブロッキング高気圧

北国の豪雪に関するニュースを何処か他人事のように見聞きしていたが、大分県でも最低気温がマイナス12度を記録したと聞いてびっくりした。冬のベーリング海、特にアラスカ湾では連日零下20度のなかで操業していたので寒さには慣れているつもりでいたが積雪と寒さが何日も続く現状を見ているとついつい「異常気象」と言う言葉が浮かんでくる。今回全国的に寒波が続いている原因はブロッキング高気圧である。30年近く前、甲種船長の海技試験の口述試験で「ブロッキング高気圧について説明せよ」と言われた事を思い出した。気象学は好きな科目だったし偉そうにペラペラ答えた記憶がある。天気が周期的に変わっていくのは偏西風の力で高気圧と低気圧が西から東へ移動するためである。この偏西風は常に一定の範囲で流れているわけではなく周期的に蛇行を繰り返す。この蛇行幅が大きい時流れの中にぽっかり空間が出来、そこに高気圧がはまり込むと東へ移動する空気の流れがないため長期間停滞することになる。「梅雨」と言う現象もこれが原因で起きるが今の季節は長引く寒波となる。徐々に高気圧の勢力が弱まるのを待つしかないのである。
この異常気象のお陰で太平洋側の冬空は晴れ渡る日が多い。一週間ほど前から素晴らしい天体ショーを見ることが出来た。夕闇せまる頃、鶴見山・由布山・久住連峰が夕焼け空にくっきりと浮かぶ姿は言いようのない美しさである。その上空には煌々と金星(ビーナス)が輝いている。そして1~2時間後、研ぎ澄まされた鎌のような三日月とそのすぐ側に木星(ジュピター)が現れる。そして金星が西の山陰に沈むころ三日月と木星の後を追うようにオリオン座が天頂近くに表れる。そしてその時刻、東の空には赤々と輝く火星とそのあとを追って土星が夜空に姿を現す。天空に興味を持つ者にとってはこれほど素晴らしいチャンスは滅多にない。寒波に苦しんでいる人たちには申し訳ないと思いつつ防寒着を纏い星空遊泳に浸ってしまうこの頃である。
春よ来い♪早く来い♪♪