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2007/12/14

船の性能

海上自衛隊のイージス艦の機密漏洩事件が巷を騒がせているが何ともお粗末な話である。そもそも団塊世代以降の大多数の人々にとっては「領土」と言う概念すら持ち合わせていないのであるから国家機密・軍事機密の何たるか等分かろう筈がない。嘗て小生が心血を注いだ水産業界(トロール事業)に於いてすら船の性能は極力社外に洩れないよう細心の注意が払われていた。レーダー・ソナー・魚群探知機などは一年スパンで進化していく。学生時代の航海実習では六分儀(セキスタント)を使って天体の高度を測り船の位置を測定していたが、その頃からロラン→デッカ→衛星(インマルサット)と航海計器は凄まじい勢いで進化していった。魚群探知機もモノクロからカラー魚探に変わりやがてソナーが汎用化されていった。最近大間のマグロ漁の様子をTVで観たが一人乗りの高速船の殆どにソナーが装備されているのに驚いた。小生が南氷洋でオキアミを追いかけていた頃のソナーの性能とは格段の進歩である。他社船よりも少しでも性能の良い計器を装備することは事業船にとって最重要課題である。先ずは船舶自体の船舶性能(スピード・馬力・積載能力・航続距離など)、レーダー・ソナーなどの航海計器、魚群探知機や他社に傍受されないような通信機器に至るまで他社よりも少しでもグレードの高い装備を追求し続けた経験がある。魚を相手の事業船ですらこの程度のことは常識的にやっていたわけで、こと国防に拘わる自衛隊のそれもイージス艦と言う最新鋭艦の性能が他国に知れるようなお粗末な危機管理(組織も意識も)の実体こそが今の日本の姿を象徴していると言わざるを得ない。