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2005/03/02

蛸(Octopus)

タコは世界中の熱帯から寒帯まで全海域に生息する軟体動物です。西洋では昔、タコは伝説上の「海の怪物」と言われ小説や映画に「悪魔の魚」として登場しています。食用として馴染みのあるタコは「マダコ」「ミズダコ」「イイダコ」などがあげられますが「ミズダコ」は全長3~4メートル、体重30~40キロと言う化け物のような容姿故このような呼び方、扱われ方をされてきたのでしょう。タコは日中物陰に隠れ日暮れとともにノソノソと獲物を探しに出てきます。好物はカニや貝類であのクネクネ曲がる足で獲物を捕捉し顎板(口に当たる)で噛みつき毒を注入し弱ってからゆっくりムシャムシャと食べます。逆にタコの天敵はウツボで、攻撃されそうになると(食べられそうになると)水を一気に吸い込み漏斗からジェット推進のように一気に水を噴射して逃げます。このとき「墨」を噴射することは皆さんよくご存じですがこの墨にはハンターの感覚器官を麻痺させる物質が含まれているといわれています。タコは餌が無くなると自分の足を食べて生き延びることから、利益の無い企業が財産処分をしながら利益配当を続けることを「たこ配当」と言うのも言い得て妙なりですね。私が三等航海士時代、西アフリカのモーリタニア沖でタコをターゲットにした操業をしましたがタコの習性はほんとにおもしろく一度海の底に潜って彼らと対面したい気分でした。日中は砂の中に潜っているため夜間のほうが漁獲量は格段に上がるのですが事業船故そんなことは言っておられず、昼夜の別なく操業をします。そこで編み出された漁法?が「タコチェーン」「タコ起こし」と言われる器具です。トロールネットの先端にこれを取り付け海底を掘り起こすような形で曳網すると砂の中に潜んでいるタコ連中がびっくりして跳ね上がりこれが網の中に吸い込まれるというまあ長閑なことをしていました。余談ですがこのときまでキャプテン池辺はタコの肌は「赤い」と信じて疑いませんでしたので「アフリカのタコは人間の肌色をしてるんですね」の質問に乗り組み員、顔を見合わせ「、、、、、、」した。食卓に並ぶ茹でたタコしか見たことがなかったのですから。タコの習性で実感できたのはゾロゾロ列を作って歩く?ことでした。それと海水の汚れたところを好む習性も加わり、同じライン上を何度曳網しても漁獲が落ちなかったのが不思議でした。
 目に見えないものを想像し、推測することは楽しいものです。なにせ正解を誰も知らないのですから気が楽です!