先日の日曜洋画劇場で「K―19」というロシアの潜水艦を舞台にした映画が放映されていました。ハリソンフォード演ずるロシアの最優秀原子力潜水艦の艦長が原子炉の事故で艦や部下の命、さらには国や世界を原爆の脅威から如何にして守ったかという内容のもので、嘗て小生が船長として乗船していた津田丸の火災事故を思い出しました。生命の危険と背中合わせの仕事、さらには利潤を追求する事業船というのは「指揮命令系統」がきちんと確立・実践されるようになっていなくては旨くいきません。一端事が起これば「じっくり考えて、、、」なんて悠長なことは言っておれません。船長の一瞬の判断ミス、決断の遅れが致命傷となるからです。すなわち企業に大損害を与えるだけでなく乗組員の命やその家族を路頭に迷わせることにも成りかねないからです。そのための備えの基礎となるのは「日常のシミュレーションの反復」です。大時化の時エンジントラブルで船が横波を受けたとき、舵が故障したとき、機関室・船倉・居住区などでの火災発生時の対応、人身事故、操業に関する戦略やトラブル等々「こうなったら、こうする」というようなことを暇さえあれば考えて緊急事態に備えなくてはいけません。事故は往々にして「予想もしない」原因で発生するものです。日頃のシミュレーションの範囲内での事故でさえ的確な指示を即座に出すことは難しいものです。ましてや予想外の事故に直面したときの指揮官の判断と決断の重要性は計り知れないものがあります。機関部・甲板部・司厨部・事務部・製造部にはそれぞれ機関長・一等航海士・司厨長・通信長・工場長といった各部のリーダー(サロン級士官)が居ます。その下に士官・下士官・部員といったスタッフが居てピラミッド型の組織が構築されています。100人近い乗り組み員を統率して行くうえで一番大切なことは「全員に共通する目的をはっきり認識させること」です。「一人の落伍者もなく全員が元気に帰国すること、他船よりも好成績を上げ収入を多く得ること」そのためには一人一人が何を成すべきかを「言葉で、態度で、職権で」全員に認識させることです。指揮官の方針はピラミッドを順次下っていくように直属の部下に伝達していく仕組みを構築すれば仕事は旨くいきます。封鎖的な船内生活をスムーズに遂行するため「指揮命令系統」を始め船の世界ではいろいろと工夫された慣習が多々あります。そしてこれらは全て陸の世界でも通用することをキャプテンは河童になって初めて知りました。人は皆平等、職位で人間の価値が決まるものではありません。与えられた部署で如何に力を発揮するか、発揮できるかがその人の「人間としての評価」「仕事人としての価値」なのです。我が社の社員が得意先や業者の方々から褒められたときの喜びは何物にも代え難く「同じ釜の飯を食う」仲間の評価点を出したり給与決める重たい作業から一瞬なりとも解放されます。
皆さん!良い仕事をして素晴らしい絆を築いていきましょう!!
2005/07/05
2005/06/01
灯台
皆さんが港で見かける灯台には赤灯台と白灯台がありますが、これにはルールがあります。水源(海から見て陸地側)を背に左手側に赤灯台(光は赤色光)、右側に白灯台(緑色光)が設置されています。岬には白い灯台が設置されていますが雪の多い地方などでは灯台が白くては確認し難くなるので黒や赤の横縞を入れた灯台もあります。夜間真っ黒な海に点いたり消えたりする灯台の光にもルールがあります。暗い海では灯台が同じ光り方をしていると位置が分からなくなりますので灯質(光り方)を変えて何処の灯台かを知る仕組みになっています。閃光と言ってパッパッと光るものや群光と言って光りを放つ長さを長短で表したも、この二つを組み合わした群閃光などがあり、更にそれぞれ色分け(白色・赤色・緑)をして何処の灯台かを識別出来る仕組みになっています。
これらは「灯台表」と言う本に告示されています。現在は高性能のレーダーやGPSが発達しているためいちいち灯台の光を確かめて航行する船はまず無いと思います。小生の学生時代、遠洋航海で外国の港に入港するときは予め灯台表で灯質を調べておいてレーダー位置に間違いがないかを灯台の光と方位で確認すると言った実習をしていました。航路標識は大きく分けると三つに分類されます。①光波標識②電波標識③音波標識です。①の光波標識には岬や島や防波堤に建っている「灯台」、船が座礁しないよう浅瀬や暗礁に建っている「灯標」、浅瀬や暗礁のある海の上に浮かんでいる「灯浮標」、暗礁や防波堤を照らして危険を知らせる「照射灯」、港への進入コースを知らせる「導灯」等があります。電波標識には中波無線標識、マイクロ波無線標識、ロランC、GPS等があります。音波標識とは霧や雪で視程が低下したときに大きな音(霧笛や鐘の音)を出して船に位置を知らせるものです。「喜びも悲しみも幾年月」と言う灯台守の生涯を映画化した作品を知っている人は小生の年代位までかもしれませんが昔の灯台守(海上保安庁の職員で灯台を守るのが仕事)が苦労した事を映画で知っていた小生は灯台の光を見るたびに切ない思いに駆られたものです。瀬戸内海を夜航行すると灯台や灯浮標が左右両舷を幾つもいくつも通りすぎて行くのを見ることが出来ますが正に旅の旅情を否応なしにかき立ててくれます。船首が波を切る音とそれによって出来る夜光虫の帯、静かに寂しく光る航路標識や夜間航行中の船舶の灯火、、、是非皆さん一度瀬戸内海を船旅してみてください。見渡す限り海又海の南氷洋やベーリング海から帰国の途中最初に見る灯台も何とも懐かしく美しいことか!緑濃い岬にそびえる真っ白な灯台は本当に心が和みます。
「船は沈むもの」と信じて疑わないK君、船はJRよりも安全です、キャプテンが保証します!
これらは「灯台表」と言う本に告示されています。現在は高性能のレーダーやGPSが発達しているためいちいち灯台の光を確かめて航行する船はまず無いと思います。小生の学生時代、遠洋航海で外国の港に入港するときは予め灯台表で灯質を調べておいてレーダー位置に間違いがないかを灯台の光と方位で確認すると言った実習をしていました。航路標識は大きく分けると三つに分類されます。①光波標識②電波標識③音波標識です。①の光波標識には岬や島や防波堤に建っている「灯台」、船が座礁しないよう浅瀬や暗礁に建っている「灯標」、浅瀬や暗礁のある海の上に浮かんでいる「灯浮標」、暗礁や防波堤を照らして危険を知らせる「照射灯」、港への進入コースを知らせる「導灯」等があります。電波標識には中波無線標識、マイクロ波無線標識、ロランC、GPS等があります。音波標識とは霧や雪で視程が低下したときに大きな音(霧笛や鐘の音)を出して船に位置を知らせるものです。「喜びも悲しみも幾年月」と言う灯台守の生涯を映画化した作品を知っている人は小生の年代位までかもしれませんが昔の灯台守(海上保安庁の職員で灯台を守るのが仕事)が苦労した事を映画で知っていた小生は灯台の光を見るたびに切ない思いに駆られたものです。瀬戸内海を夜航行すると灯台や灯浮標が左右両舷を幾つもいくつも通りすぎて行くのを見ることが出来ますが正に旅の旅情を否応なしにかき立ててくれます。船首が波を切る音とそれによって出来る夜光虫の帯、静かに寂しく光る航路標識や夜間航行中の船舶の灯火、、、是非皆さん一度瀬戸内海を船旅してみてください。見渡す限り海又海の南氷洋やベーリング海から帰国の途中最初に見る灯台も何とも懐かしく美しいことか!緑濃い岬にそびえる真っ白な灯台は本当に心が和みます。
「船は沈むもの」と信じて疑わないK君、船はJRよりも安全です、キャプテンが保証します!
written by
captain-ikebe
2005/05/09
地震と津波
昨年暮れの信越地震、スマトラ沖地震、玄界灘地震と立て続けに大型地震が発生していますが、これは地球が生きる惑星の証明でもあります。ところでニュースでよく耳にする「マグニチュード」と「震度」の違いを知っていますか?両方とも地震の大きさを示す基準ですが「マグニチュード」は地震の中心点で放出されるエネルギー値であるのに対し、「震度」は観測地点の表層での地震の強弱値ですので震源から離れるほど「震度」の数値は小さくなります。
「マグニチュード」は1~9までの段階があり「震度」は0~7までを10段階(震度5と6を更に強・弱で分けている)で表示されています。地震の種類は「構造性地震」「火山性地震」「人工的地震」に分類されます。地球はその誕生から4回の氷河期と間氷期を繰り返して現在にいたっていますがそれほど長いスパンで地球内部は動き続けているわけです。
「津波」は英語で「tidal wave」と言いますが現在は通称「tsunami」で呼ばれています。その多くは環太平洋地震帯で発生します。1960年のチリ沖地震で発生した津波は太平洋を一気に渡り三陸沖に達し5メートルの波高を観測しました。波速は時速700~800キロと言うとてつもない早さで伝わって行きます。大洋では50センチ程度でも陸岸に近づき水深が浅くなると波高は一気に上昇し、更にリアス式海岸などに進入してくると10メートル以上の波高となって襲いかかってきます。これと同じような現象に「高波」がありますがこれは台風などの強風のため風圧と気圧の低下が原因で潮位が上昇するため「風津波」と呼ばれることもあります。
小生が大学4年次に「社船実習」で鮭鱒事業の母船に乗船していたとき、外洋で津波を経験しました。昭和43年5月、鮭鱒漁場のアリューシャン列島~ベーリング海にむけ函館港を出港した翌日のこと、一万トンの母船の船体がブルブルと震動しエンジントラブルかな?と思ったのが「道東沖地震」の津波によるものでした。前夜まで賑わった函館の飲み屋さんは軒並み店の中が全滅状態になるほどの地震だったそうですが洋上では「アレッ?」と言う程度でした。蓄えられたエネルギーが放出するときのパワーは凄いものです。我が社ももっともっとエネルギーを蓄え放出出来るよう頑張りたいものですね。蓄積エネルギーを持っている人は出し惜しみするなよ~。
「マグニチュード」は1~9までの段階があり「震度」は0~7までを10段階(震度5と6を更に強・弱で分けている)で表示されています。地震の種類は「構造性地震」「火山性地震」「人工的地震」に分類されます。地球はその誕生から4回の氷河期と間氷期を繰り返して現在にいたっていますがそれほど長いスパンで地球内部は動き続けているわけです。
「津波」は英語で「tidal wave」と言いますが現在は通称「tsunami」で呼ばれています。その多くは環太平洋地震帯で発生します。1960年のチリ沖地震で発生した津波は太平洋を一気に渡り三陸沖に達し5メートルの波高を観測しました。波速は時速700~800キロと言うとてつもない早さで伝わって行きます。大洋では50センチ程度でも陸岸に近づき水深が浅くなると波高は一気に上昇し、更にリアス式海岸などに進入してくると10メートル以上の波高となって襲いかかってきます。これと同じような現象に「高波」がありますがこれは台風などの強風のため風圧と気圧の低下が原因で潮位が上昇するため「風津波」と呼ばれることもあります。
小生が大学4年次に「社船実習」で鮭鱒事業の母船に乗船していたとき、外洋で津波を経験しました。昭和43年5月、鮭鱒漁場のアリューシャン列島~ベーリング海にむけ函館港を出港した翌日のこと、一万トンの母船の船体がブルブルと震動しエンジントラブルかな?と思ったのが「道東沖地震」の津波によるものでした。前夜まで賑わった函館の飲み屋さんは軒並み店の中が全滅状態になるほどの地震だったそうですが洋上では「アレッ?」と言う程度でした。蓄えられたエネルギーが放出するときのパワーは凄いものです。我が社ももっともっとエネルギーを蓄え放出出来るよう頑張りたいものですね。蓄積エネルギーを持っている人は出し惜しみするなよ~。
written by
captain-ikebe