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2011/05/24

星空遊泳

うしかい座のアークツールス、おとめ座のスピカ、しし座のデネボラが作る三角形を「春の大三角形」と呼ぶ。船乗り時代、アラスカの子会社のキャッチャーボートに「アークツールス」という名の船がいたこともありこの星には愛着がある。今年は小生の大好きなサターン(土星)をこの「春の大三角形」の中のおとめ座周辺で見ることが出来る。昨年は土星の輪が水平になり殆ど消えた状態になったため見る気になれなかったが今年はあの美しい輪が出現した。先日、急に星空が見たくなり久しぶりの星空遊泳となった。
夜空を仰ぎたいという気持ちは精神的にどういう状態のときに起きるのであろうか?子供の頃は天の川を眺めては、ひたすら「綺麗!」と感激し、小中学生の頃は星座を覚えては夜空を眺め、目当ての星座を見つけては喜んだものである。大学時代はもっぱら「天測」のターゲットとして夕闇迫る大海原で一等星をいち早く見つけるのに懸命になった。社会人になってからは世界中の海でその地域、季節でしか見れない星座や星が心を和ませてくれた。
陸に上がって今年で20年、買い求めた天体望遠鏡も6台になった。季節ごとに変化する星空を一人眺めているときの静けさ、心の安らぎは他のどんな趣味にも勝るとも劣らない。
渓流釣りが趣味という変わり者の親友に「星空観察」を薦めているがいまだその気にはなってくれない。真っ暗闇の山野で渓流の音を聞きながら夜空を仰げばどれほど素晴らしいだろうと思うのだが、、、親友に「星」を薦める小生の楽しみは一緒に渓流釣りをするのではなく、今のところ彼の持ち帰る「獲物」であることは内緒にしている。北洋や南氷洋といった極寒の地でみる星も赤道直下の満天の星もいまだ脳裏から消えることはないが何時の日かあの若かりし頃に訪れた外洋で降り注ぐ星に身を溶け込ませたいと願っている。