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2004/11/04

オキアミ

年末恒例「生ずわい蟹」の世話をしてもらっている日本水産の後輩から先日嬉しい話を聞きました。小生がキャプテンとして座乗していた「竹生丸」がアルゼンチンに買い取られ南氷洋のオキアミ操業に従事しているとのこと。臼杵鉄鋼佐伯造船所で建造されかれこれ40年近くになると言うのに未だ現役で活躍している事を聞き、嬉しくなって今回は「オキアミ」について話をすることにしました。
 学名をユーファウシアスペルバと言う南極オキアミは南極大陸周辺に広く分布するプランクトンの一種です。「カッパえびせん」等のスナック菓子、養殖の餌、医薬品の原料等々幅広く利用されている事は皆さん良く知っていることと思います。南氷洋捕鯨の規制が厳しくなる中無尽蔵とされていた南極オキアミを大手水産会社が一事業として取り組み始めたのは小生が水産学生として練習船に乗船していた頃です。地球上の大陸棚のあるところ日本のトロール船有りと言われるほど世界中に展開していた日本のトロール船隊も、年々厳しくなる規制に締め付けられ、行き場をなくし我が宝幸水産も北方トロールの主力船「竹生丸」を南氷洋に投入したのは小生が一等航海士の時でした。南氷洋のオキアミ群は無尽蔵とまではいかなくても、海面が何十マイルにもわたって色が変色するほど広範囲に生息しているため、この群(パッチと呼ぶ)が曳網によってばらけないよう群の端の方から丁寧に20トン程度ずつ捕獲していきます。大きい群になると3~4日かかっても取り尽くせない程です。始末が悪いのは魚躰が非常に柔らかく20トン以上捕獲すると魚躰が潰れてしまい製品に出来なくなるのです。それと鮮度低下が早くパン立て作業(10キロパンに詰めて急速冷凍する)は2時間が限度で、それ以上時間が経過すると魚躰が黄色く変色し製品価値がなくなります。釣り好きの皆さんが釣り餌に使うオキアミもこうした苦労の末作られたものなのです。我が家のアロワナ君にもこのオキアミを与えていますが餌をやるときは「心して食えよ」と言いながら与えています。オキアミの目玉が癌の治療薬に有効という噂が流れ本社の指示により目玉だけをピンセットでかき集めサンプル製品を作ったりもしましたがアレどうなったのでしょうねえ?我が社の新規事業「光触媒」と「オキアミ」何か結びつける事は出来ないかなあ~~と考える今日この頃です。